Step.1 属性とは【概要レベル】
属性とはエンティティです、といってもわかりにくいので私なりに申し上げると、
「計画データの特徴・性質を意味する最小項目単位」と記述しておきます。
具体例でいえば、
- Product ID(製品ID)
- Product Description(製品名)
- WEEKWEIGHT(週期間加重属性)
などの項目単位を属性と呼びます。
これらはユーザ企業の要件に合わせて追加定義することができます。例えば製品情報として製造分類コード(AA~ZZ)という情報を保持する必要があるならば、
- 製品分類コード
という属性を定義して、Productのマスタデータとして保持することができます。
Step.2 属性とは【業務ユーザレベル】
上記の通り属性は計画データの項目単位です。
Excel UI上は、以下の赤枠に当たります。

ここでは、導入検討段階や導入PJ中のユーザを対象に、「属性(Attributes)」に関連する主要な仕組みをご説明します。
実際の操作マニュアルは導入ベンダーが作成したドキュメントを参照してください。
あるいは、End-User Guideと検索すると英語版のPDFが転がっていたりします。
2-1. 集約レベルで表示する
まずは簡単に、IBPが保持する計画データをご説明します。(詳細は別記事を設けます)
例えば「 "1999年3月3日"に ”製品1”を "得意先A"に対して "20個" 」という販売計画があります。
※IBPのデータ保持粒度はユーザ企業によって異なります。日単位か技術週単位のどちらかになります。
この販売計画を構成する要素は、
"1999年3月3日" "製品1" "得意先A" "20個" です。
つまり、 日付 × 製品 × 得意先 × 数量 です。
IBP用語では、 DAY | PROD | CUST | Key Figure です。
では、Excel UIで "1999/3/1週" の”製品1”の"得意先A"に対する販売計画数量を表示する場合にはどのように算出されるのでしょうか。
日付 × 製品 × 得意先 × 数量
でデータを保持していますから、その日付要素を週単位に集約して算出します。

この集約(Aggregation)という考え方は、日付以外の要素にも当てはまります。
例えば、製品1と製品2を"家庭用機器1"という販売カテゴリにまとめて表示するときは、以下のようになります。

上記の考え方が理解できれば、集約という仕組みはご理解いただけたかと思います。
例えば、週・販売カテゴリ単位 で集約すると以下のイメージになります。

Excel UIのイメージでは以下のようになります。

このように最小データ粒度のキー項目であるProductの属性によって、計画データを集約して表示することができます。
2-2. 集約レベルで入力する
では、集約レベルで入力した場合はどうなるでしょう。
先ほどの例で、「”家庭用機器1”を1999/3/1週に250個」販売する計画を入力することを考えます。
何の設定もしていない均等按分の場合、以下のような値になってしまいます。

これを先ほどの集約前のようにするためには、IBPのカスタマイズ設計が必要です。
業務ユーザと開発ベンダーの議論を通して、適切かつ実現可能な按分仕様を決める必要があります。
逆に、「そもそも販売計画は週単位か月単位で入力し、絶対に日単位で入力しない」という場合は、販売計画数量を日単位で持つべきではありません。
IBPのデータ保持粒度は業務設計に沿って入念に検討する必要があります。
2-3. ID - テキスト、ID、テキスト
主要な属性(Product、Customer、Location、Resource)、あるいは追加定義した属性について、Excel UIでの表示形式は以下の3種類あります。
- ID - テキスト(例:1234567 - 製品1)
- ID(例:1234567)
- テキスト(例:製品1)
お気に入り登録したPVのIDテキストの表示形式はユーザごとに変更できます。
なお新規ビューから開いた場合はテンプレートPVの表示形式に従います。
変更したい場合は、計画ビュー編集の「レイアウト」から設定します。
もしIBPを帳票とした使いたい場合は、例えばProductであれば、「Product ID」と「Product Desc」を別々の列で表示することも可能です。
テンプレートPVはロード時間の短縮のために「ID - テキスト」で登録されていることが多いと思いますので、Tipsとして覚えておいていただければと思います。
2-4. SAP IBPにおける属性値基準フィルタ
話は変わりますがIBP導入プロジェクトでは、
「SAP IBPは遅くないか。」
「ロード時間が長くないか。」
という問題がつきものです。
もし現行オンプレミスシステムがある場合は、それと比較してSaaSであるIBPが少しばかり遅いことは致し方ありません。
一方で、とはいっても遅すぎる、ということがIBP導入プロジェクトで起こりえます。
ここで、IBPのExcel UIのデータ取得・表示の流れのイメージは以下のようになっています。

IBPの動作が遅くなる理由の多くは、上図の「受信データの描画」です。
表示データが多すぎて、ユーザのPCでは表示に数十秒~数分かかってしまう、という状態になっているのです。
具体的な原因は主に2つです。
- PCメモリ不足
- 業務上一度に表示する必要がないデータの表示
2-4-1. PCメモリ不足
SAP IBPを使用することができるハードウェア条件は以下のSAP Noteの通りです。
2135948 - Install the S&OP / SAP IBP, Add-In for Microsoft Excel: Supported Configurations / Prerequisites
https://launchpad.support.sap.com/#/notes/2135948
要約すれば以下です。
- プロセッサ:2 GHz以上
- RAM:4 GB以上、ただし8 GB以上を推奨
- ディスク容量:1 GB以上
- 画面解像度:1280 x 800 以上
- インターネット接続速度:3 Mbps以上
基本的にボトルネックはRAMです。
8GBが推奨とされていますが、個人的な意見を述べれば、16GB が最低要求レベルで、32GB や 64GB を用意することが望ましいです。
もし8GBで乗り切れるだろうと考えている場合は、SAP IBP専用にRAM 32GBのPCを各部門1つ用意する、などの対応が必要でしょう。
2-4-2. 業務上一度に表示する必要がないデータの表示
「業務上一度に表示する必要がないデータの表示」にも以下のようにいくつかの軸に切り分けられます。
- 属性レベルで切り分けられるデータの全表示
例:得意先”A”しか見ないのにすべての得意先を表示している - 重要でないKFの表示
例:特定の担当者だけが参照する「前々年の需要」KFを表示している - 必要なKFだが不要な値(Nullや0)の表示
例:販売計画の集約値の確認用PVで需要0でも表示している - 不要な期間の表示
例:4か月先の需要計画までしか策定しないのに9か月先まで表示している
後ろ3つは別の機会にご説明します。
この記事では1つ目の「属性レベルで切り分けられるデータの全表示」の解決策となる属性値基準フィルタの仕組みをご説明します。
例えば、 製品 = 製品2 というフィルタを設定することで、IBPサーバで抽出されるデータが下図のようになります。

属性値基準フィルタは、計画ビュー編集のフィルタタブから設定します。なお、属性値基準フィルタは以下の2つに分かれます。
- Planning View(各シート)の属性値基準フィルタ
それぞれのPVのフィルタタブから設定する - Planning Book(全シート)の属性値基準フィルタ
ワークブックフィルタから設定する
抽出データを絞り込むという仕組みは同じです。特定のPVだけにフィルタをかけたい場合はそれぞれのPVのフィルタタブから、すべてのPVにフィルタをかけたい場合はワークブックフィルタから設定しましょう。
テンプレートPVでは業務担当者レベルまで絞るフィルタはかけず、ユーザごとに必要な属性値基準フィルタを設定してお気に入り登録する、という運用が通例です。
そのためには、フィルタリングするための切り分けとしての属性が必要になります。
製品種別や製品カテゴリ、製品ファミリー、製造拠点、販売エリア、販売センター、など、切り分けとしての属性は企業によって異なります。
IBP 導入時または保守運用対応にて、そのような属性を取りこぼさずにIBPに定義することが重要になります。
2-5. 属性値の繰り返し表示とExcel標準フィルタ
属性値の繰り返し表示とは以下のような表示です。同じ属性値を繰り返し表示します。

ユーザごとに、設定>オプション>照会の「行ヘッダの繰り返し」でオン/オフの設定が可能です。
属性値の繰り返し表示のPros&Consは以下の通りです。
- Pros
Excelの標準フィルタを使用する場合に、繰り返し表示をしていないとフィルタリングしたときに属性値のセルがBlankになる場合があります。
Excelの標準フィルタをIBPで多く使う担当者はオンにするのがよいでしょう。 - Cons
同じような名称の場合にどこで区切れているのかぱっと見ではわかりにくいです。
また、データの描画時間が少しだけ長くなります。
2-6. SAP IBPにおける昇順・降順ソート ※操作留意点
入力可能KFがあるPlanning Viewではソートを使用しないでください。
なぜなら、ソートした後に値を入力してデータ保存すると、異なるキーのデータとしてみなされ、思い通りのデータが保存されないからです。
例えば上記の 属性値の繰り返し表示 のPVでCustomer IDを昇順ソートした後に得意先 04205 - 商社YOKA6 のコンセンサス需要計画KFにデータを保存するとします。
ソート後は 得意先 04205 - 商社YOKA6 がページの最下部にあると思われますが、Excel Add-Inはソート前の配置を参照して入力データをIBPサーバに送信します。
これを防止するためには、設定>オプション>照会>行ヘッダの繰り返しの「Microsoft Excel セル参照使用」をオフにしてください。
なお、行ヘッダの繰り返しをしていない場合は属性がBlankであることから、そもそもExcel標準ソートは機能しないため、オンオフの設定はありません(常にオフ)。
では、属性値に対するソートをしたい場合はどうすればよいのでしょうか。
計画ビュー編集の属性タブで属性ソートを設定しましょう。
具体的には、各属性に対して、”A-Z(昇順)"、”Z-A(昇順)"、"...(アドホックソート)(ユーザがソートの詳細順序を設定)”の3つから指定します。
デフォルトは”A-Z(昇順)"です。
また、SAP IBPでは左側の属性(属性タブで表示されている上の項目)からソートが適応されます。
もし上記のPV画面でProduct GroupよりもCustomer IDを優先してソートしたい場合は、表示順序をCustomer ID、Product Group、Product IDにします。
Step.3 属性とは【システム担当者、カスタマイズ設計開発者レベル】

(更新予定:属性定義、計画範囲への割り当て、他)
※各概念のStep1,2を優先して執筆予定です。