「この変化を軽く見てはいけない。」
この変化を軽く見てはいけない。それは一時的、局所的な現象じゃなく、時代を貫通する大きなトレンドの一つの現われなのだ。(浅田彰, "逃走論", 1986, p.10)
明確な区切りはわかりませんが、体感では2018年ごろから、逃走する人が増えてきたのかなと思います。
明確に述べておきますが、私は「逃げること」や「逃走すること」を人が生きるために有効な手段として考えています。
会社員の逃走と働き方
この記事における「逃走する人」とは、雑に言えば、出世欲がない人です。
2000年代と比べて、出世に対する価値観は明らかに変化しました。
出世に対するあなたの関心は少なくなりました。
「出世は男の本懐だ」(シン・ゴジラ)
という言葉にも違和感を覚えます。
転職する人々も増えてきました。2020年以降の転職アプリの普及はめざましいものです。あなたにとって「終身雇用」はあまり良い意味合いを持ちません。
なぜ、あなたは逃げ始めたのでしょうか。あるいは、逃げることができるようになったのでしょうか。
要約すれば主な要因は二つです。
- 日本経済の成長により、出世しなくとも充実した暮らしができるようになった
- 情報網(インターネット)の普及により、転職がしやすくなった
転職については色々な動機があるでしょうから、ここでは意見を述べられません。
とりあえず、あなたは、出世、すなわち「労働における他者競争」から逃げ始めることができました。
偏執型SNS
あなたは学生時代からLINE・Twitter(現X)・Instagram・TikTokを非営利的に使っています。あなたはSNSを否定したくありません、ただ生きるためには問うべきです。
アイデンティティを見出してはいないでしょうか?
あなたはSNSの投稿を自分自身の要素とみなしています。あなたの投稿が積層してあなたが構成されている、と思っています。
もしそうならば、その無意識は危険です。
あなたが労働において逃げ始める(微分する)ことができた一方で、あなたはSNSというアイデンティティ生成装置に偏執してはいないでしょうか。
コンテンツ化と消費
なぜSNS上でアイデンティティを構成することが危険なのか。
そのアイデンティティが他者からコンテンツ化され、瞬間的に消費されるからです。
例を挙げましょう。あなたはあなたが属している団体(部活・サークル、学級など)のトップレベルの能力を持っている。
何らかの成果を上げた、例えば優勝した。それをSNSに投稿した。いいねがついた。
それだけならば、承認欲求がある程度の期間続くかもしれません。
マイナスの評価があった。あるいは友達からの未読だけでも要因となるでしょう。
あなたの自尊心は刺されます。
あなたは自分であなたの防壁を下したのです。
SNSの偏執によって、他者が容易に消費できる場所に、あなたをコンテンツとして置きました。
2030年への逃走線
消費から逃げる。いや、逃走線を引くだけでもよいのです。
そこに居続けるとしても、あなた自身がコンテンツ化されることを防ぐのです。
あなたはこうだよね、という他者の理解を肯定も否定もしないのです。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない、と答えるべきです。
あなたが他者の中であなたを構成することを許さない。
言い換えれば、
- 自身を他者の評価によって形成しない
- 他者にあなたを評価させない
後者は相手の意表を突く必要があるので難しいですが、まずは前者から始めましょう。